ユネスコESDに関する世界会議とESD全国大会が開催されます。この大会を節目と考え、これからの環境教育に活用する環境教育・ESD事例集「持続可能な社会づくりと環境教育 ESDにもとづく環境教育の理論と実践事例」を、日本教育新聞社より出版いたします。ESDをふまえた新しい環境教育のあり方を、理論編と実践編にわけて解説します。申し込みは11月4日以降になります。
夏の猛暑、一変して記録的な大雨や巨大な台風、冬には大雪と気象の変動が大きくなり、これまであまり肌に感じていなかった温暖化の影響が、はっきりと分かるようになってきました。地球全体に関わる深刻な問題が表れてきました。このまま温暖化が進行すると、持続不可能な社会となってしまうのではないかと心配になります。多くの環境問題は、認識されたときから増え続け、複合して問題が複雑になっています。またその一方で、一時は節電に国を上げて取組んだことを忘れてしまったかのように、火力発電に頼った生活に戻ってしまいました。原発や放射能汚染を含めて、大きな課題は解決されていません。持続可能な社会づくりは正に正念場です。
環境教育が誕生したのは1970年代です。本研究会もそれ以前は公害教育研究会として活動していました。その後、1977年にユネスコの環境教育に関する政府間会議などがあり環境教育が定着したのです。そして2005年に「持続可能な開発のための教育の10年」ESDが始まりました。ESDが生まれた背景には、環境問題が地球全体の問題となってきたこと。環境と社会や経済とのバランスのある活動が、環境問題の解決に必要なことと認識されたからです。環境は人間だけでなく自然や地球全体にとっても重要です。その意味においてESDは、環境教育から見ると「持続可能な環境のための教育」とも言えるのです。
多様で複雑な環境問題は意欲だけでは解決できません。解決を図るためには、環境教育を通して育った環境を保護・保全する意欲や態度と、環境問題を解決するための問題解決能力とを併せ持った資質や能力の育成が必要なのです。これは、教えられ覚える学びから、主体的な活動と思考し判断する学びへの変化によってはじめて育てられるものであり、生きる力やOECDのキー・コンピテンシーともつながる学力といえます。環境教育は将来を担う子ども達にとって不可欠な教育なのです。
「ESDの10年」は2014年の愛知県と岡山市で開催されるユネスコの世界会議をもって終了します。しかし、地球の抱える持続可能性という課題は残されたままです。引き続きESDはGAP(グローバル・アクション・プログラム)として継続し、持続可能な社会をつくるための教育を実践する予定です。これからの環境教育に課せられた役割りには大きいものがあります。それは、どの学校でも環境教育を指導し、日本中・世界中の子供や大人が環境に関心をもち、問題の解決に取り組むよう教育活動を一層充実させることと、環境問題の解決を図ることのできる人材を多く輩出することです。
そして、環境教育を研究する本研究会の使命は、将来の社会を担う人材の育成のために学校教育の柱となる環境教育を広め充実させることにあります。この度、日本教育新聞社のご協力のもと、本研究会として環境教育事例集を刊行し、環境教育の理論と共に現在国内の学校で実践されている環境教育ESDの取り組みを紹介することとなりました。理論編ではこれからの環境教育の在り方を示しました。実践事例は、学校全体で取り組んでいる事例として、環境教育を中心とした多様な教育活動を紹介しています。各小中学校で、環境教育を中心に据えた総合的な学習の時間を指導する際に、参考になる事例や計画、指導方法が豊富に載っています。是非ご活用ください。
21世紀を担う子供たちのために、環境保全意欲と問題解決の能力・態度の両面で環境教育を充実・発展させましょう。本研究会については当ホームページをご覧ください。
① 環境教育とESDの価値
② 環境教育の現状と課題
① 環境教育の目標と目指す児童・生徒像
② 環境教育で育成する能力・態度
① 学校と地域の特色を活かす
② 環境教育の全体計画と年間計画、ESDカレンダー
③ 小学校・中学校の連携を活用する
① ポートフォリオ ② イメージマップ ③ 意識調査
北海道石狩市厚田小学校
埼玉県越谷市立大袋東小学校
千葉県四街道市立中央小学校
東京都新宿区東戸山小学校
東京都江東区立八名川小学校
東京都練馬区立富士見台小学校
東京都多摩市立多摩第一小学校
東京都多摩市立連光寺小学校
横浜市立永田台小学校
静岡県御前崎市立御前崎小学校
秋田県大仙市立大曲南中学校
宮城県気仙沼市立唐桑中学校
東京都大田区立大森第六中学校
愛知県岡崎市立新香山中学校
愛知県豊橋市立章南中学校
兵庫県尼崎市立成良中学校