研究活動紹介

研究テーマ「持続可能な社会づくりのための環境教育の推進~環境教育によって育む学力と環境保全意欲~」

 5月26日、全国288地点で5月の最高気温が観測された。東京では32.6℃。北海道の佐呂間では39.5℃にもなった。その前後も真夏日となる地点が続出した。小中学校では、この時期に行う運動会や体育祭での熱中症が懸念され、例年になく体育的行事の是非が取り沙汰されている状況である。

 同じ月、京都ではIPCCの第49回総会が開催された。昨年10月、韓国の仁川で開催された第48回総会では、AR6(第6次評価報告書 2021~2022年に公表予定)に先んじて、「地球温暖化を2℃以下ではなく、1.5℃に抑える」必要があるとの特別報告書が公表されたことは記憶に新しい。これは、2013~2014年にかけて公表されたAR5が、AR6を待たずして更新しなければならない状況となっていることに他ならず、地球温暖化の進行が想定以上に進んでいる表れである。はからずも、総会が開催された日本で5月の最高気温が更新される事態となり、特別報告書の中身をより現実味のあるものとして感じさせた。5月のIPCC第49回総会では、温室効果ガス排出量の算出方法の新たな指針が示された。年末に開かれる国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP25 チリ)の合意を得て、SDGsの13番目の目標である「気候変動に具体的な対策を」への取り組みが加速されていく。

 各国政府のみならず、民間企業や経済界はSDGsに対して大変真摯で積極的な取り組みを進めている。ダイベストメントや石炭火力発電所の運用停止、RE100、喫煙対策、フードロス対策等、マスコミが話題を提供しない日はない。その根底にあるのは、SDGsが世界共通言語であるということ、「ひとごと」から「自分ごと」へといった意識の転換と、「企業経営」としての戦略の転換である。

 一方、学校現場はどうであろうか。3月15日、116か国1905か所という規模で気候変動の危機を訴える子供や若者によるアクション“Fridays For Future”が行われた。スウェーデンの15歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんが、自国の国会前で気候変動への危機を訴える行動をはじめたことが始まりである。政府がパリ協定に沿う納得できる政策をとるまで毎週金曜に学校ストライキを実施することを自身で決め、そのアクションはSNSを通じて世界中に拡散されていった。COP24に招待され、ドイツのメルケル首相が支持表明をしたほどである。ストライキに参加する子供たちが訴える言葉、「大人たちは『未来のために勉強しなさい』と言う。でも、今のまま気候変動が進めば、まともな未来なんてないかもしれない。たくさん勉強して気候変動の危機を訴えても政府はまったく声に耳を貸さないのなら、どうして一生懸命勉強していられるの?」に対して、私たちは十分な説明と実践をもっているだろうか。

~温暖化対策をはじめとする持続可能な社会づくりに、教育は座しているだけではならない~

私たち東京都小中学校環境教育研究会は、この合言葉を強く胸に抱き、2100年を生きる子供たちへの持続可能な社会づくりというパラダイムシフトを進めていく使命がある。これまで本研究会が取り組んできたESDは、その実現を可能にする希望であり手段となりうると信じて止まない。新しい環境教育(ESD)におけるねらいの設定、授業デザイン、指導方法などについてさらに広く深く確信をもって研究を進め、指導者側の意識転換と、児童・生徒の変容を図っていく決意である。

<研究の方法>

(1) 役員定例会で理論構成を行う。
(2) 本研究会で作成した「新しい環境教育」で示した児童・生徒の3つの能力・態度をもとに、研究部定例会において指導内容検討、指導案作成、授業実践を行う。
(3) 東京都小中学校環境教育研究会の研究発表校や外部機関と連携をし、研究実践を深める。



<研究の内容>

≪理論構成≫

(1) 環境教育やESDの優良事例を分析し、学校経営や授業の在り方について検討し、推進する。
(2) 幼稚園・小学校・中学校の発達段階に応じた、学習活動のねらいや方法を研究する。
≪実践研究≫

(1) 「新しい環境教育」の3つの能力・態度をもとにした実践を行う。
(2) 環境教育やESDによる自己の変容について研究を深める。児童・生徒が自らの思いや考えを明確に意識し、その変容を捉えることができるように、ポートフォリオやイメージマップ等を取り入れた学習方法とその評価方法に関する研究を深める。

研究活動紹介